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医療事故・医療ミス・医療過誤の弁護士相談|医療事故研究会 > Q91 医療事故があれば責任が認められるのか(過失)

Q91 医療事故があれば責任が認められるのか(過失)

Q91医療事故が発生すれば,必ず医師に責任が認められるのでしょうか。

医療事故が発生した場合でも,ただちに医師に責任が認められるわけではありません。現 代社会における法律上の大原則として,過失責任主義というものがあります。過失責任 主義とは,責任が認められるためには加害者の側に過失が必要であるという考え方を言いま す。
日本の民法においても,損害賠償の要件として,「故意又は過失」が挙げられています (709条の不法行為責任)。医療事故に関してもこの原則は変わりません。ですから, 病院や医師に対して損害賠償請求をしようとする場合,患者の側で医師の医療行為に過失が あったことを証明しなくてはならないのです。

なお,医師と患者の間には診療契約が結ばれているので,医師がこの契約にもとづく義 務を果たさなかったとして,契約上の責任を主張することもあります。不法行為構成に対し て,債務不履行構成と言われています。医療事故や医療訴訟の基本を解説した本には,たい ていはこの2つの法律構成が紹介されています。この債務不履行構成をとったとしても, 患者は,医師が契約に基づいて果たすべき義務を果たさなかったこと(債務不履行があった こと)を立証しなければなりません。これは,結局,過失を立証するのと同じなので,両者 の構成には実質的な違いはほとんどないといわれています。

医師の過失の有無を判断する場合に基準となるのが,医療水準です。最高裁判所は,こ の医療水準について,「臨床医学の実践における医療水準」であると述べています*1。ここ で注意しなければならないのが,「医療水準」とは,臨床医療の現場において平均的医師が 現に行っている「医療慣行」とは異なるということです。それ故,「医療慣行」に従った医 療を行っていた場合でも,法律的な観点からは過失ありと判断される場合もありえます*2。 医療訴訟を提起する場合には,複雑な治療経過のなかのどの行為を医師の過失と主張する かが重要なポイントになります。患者側としては,「医療水準」に適合しないことを証明で き,かつ発生した損害との間に因果関係がある行為を過失と主張していくことになります。 治療行為そのものに関する過失ではなく,事前の説明義務違反を過失として主張する場合も あります(インフォームドコンセント違反)。

なお,平成21年1月から,産科無過失補償制度が開始されています。(Q45,90 頁 参照)。この制度は,出産事故で脳性麻痺の赤ちゃんが生まれた場合,医師に過失がなくと も総額3000万円の補償金を支払うものです。医療行為に関しては国内初の無過失補償 制度です。医師に過失がある場合は,補償請求と損害賠償請求の両方を行うことができま す。ただし,補償金は損害賠償金の一部に充当されるため,重複して受け取ることはできま せん。

*1 最高裁昭和57年7月20日
*2 最高裁平成8年1月23日



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第I部
どんな医療事故があるか

検査/診断/手術/手術に関連する事故/投薬/説明義務/出産/がん治療/院内事故/転医義務/臓器移植と医療事故/高齢者医療/介護事故/眼科の医療事故/歯科の医療事故/美容外科など

第Ⅱ部

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医療事故に遭わないためには/医療事故かも?と思ったら/弁護士の探し方/相談から解決までの流れ/弁護士のセカンドオピニオン/カルテの開示請求/証拠保全/医師・病院が負う責任/医事紛争解決の手段/示談/因果関係/過失/ADR/裁判費用/患者側の損害/医療事故調査制度など

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